治療例:W・Tさん 16才女性の高度な叢生の治療例
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矯正治療のリスクと対策について【重要】
矯正治療には、機能的によく咬めるようになる、見た目が良くなる、歯磨きがしやすくなる、歯の健康が維持しやすくなる等の様々なメリットがあります。
この様に、矯正治療には多くのメリットが存在する一方で、デメリットもある医療です。
薬にも副作用としてのデメリットがありますが、ほとんどの医療には副作用などのデメリットが存在し、リスク(損害を受ける可能性)が伴うものです。
矯正治療においても、それは例外ではありません。
当医院では、矯正治療を始める前には、デメリットもよく理解した上で始めることをお勧めしています。
つきましては、以下の内容もよく把握して頂いた上で、矯正治療を行うかに関してもご検討を頂きたいと存じます。
矯正治療のリスクとしては以下の項目があります。
むし歯
矯正治療中、歯ブラシが行き届かないと矯正器具の周囲にむし歯ができることがあります。
対策としては、歯科衛生士による矯正治療前の歯ブラシの指導やクリーニング、そして治療開始後も、むし歯の予防管理を毎回の調整時に行っていく管理体制をとっています。
歯周病
歯周病の要素をお持ちの場合、歯ブラシが悪いと歯周病が進行することがあります。
対策は、矯正治療中の歯周病の予防策として、矯正治療の開始前に、成人の患者さんは歯周病の検査を行います。歯周病の治療が必要な場合は、かかりつけの医院で歯周病の治療をして頂いた後に矯正治療を開始させて頂きます。
また矯正治療開始後は、徹底して歯のクリーニングやホームケアとしての歯みがき指導などを行う事で、歯周病の予防していきます。
当院では、歯科衛生士によるプロフェッショナルな予防管理を毎回の調整時に行い、患者さんご自身のケアをサポートする体制をとっています。
歯の間にできる三角形の隙間(ブラック・トライアングル)
矯正歯科の治療後に、歯と歯の間の歯肉がさがり、三角形の隙間ができる場合があります。
原因として、歯肉の腫れがなくなり引き締まってできる場合と、がたつきのある歯をきれいに並べ変えることにより、歯と歯のあいだの歯肉が横に引き延ばされ歯肉の高さが減る場合があります。歯周病によって起こされる歯肉退縮では無い場合は、歯の健康上の問題はありません。
対策として、見た目の隙間がどうしても気になる場合には、歯の横の部分をすこし削って歯の形を変え隙間を小さくする方法で対処できます。
歯根吸収
矯正歯科の治療後に、歯の根の先が丸くなる患者さんがいらっしゃいます。
ほとんどのケースでは問題になりませんが、根の長さが3割から4割ほど短くなってしまう患者さんもまれにいらっしゃいます。
対策は、矯正歯科の治療前、中、後に歯の根の状態をレントゲン写真を撮影して根の状態をチェックしていくことである程度は回避できます。
歯根の吸収が起こる患者さんは、治療前から歯根の長さが短い、細い、すでに歯根吸収がみられる等の特徴があります。
患者さんの歯根の状況を見極めて、矯正歯科の治療をどこまで施せるかを判断していくことが大切と考えています。
しかしながら、原因が事前にわからないこともあります。
顎関節症
アメリカ矯正学会の最近の結論では、矯正治療と、顎関節の痛み、顎関節におきる音、顎が開きづらい等の症状とは、因果関係はないとのことです。
しかし現実問題として、矯正治療中にいろんな原因で、顎の痛み等を訴える患者さんもいらっしゃいます。
対策は、顎に負担をかけないようにする事や、顎を休めるマウスピースを着けたり、痛み止めのお薬を服用する等の対応をおこないます。
歯科矯正用アンカースクリューのリスク
歯科矯正用のアンカースクリューは、顎の骨に医療用のネジ(アンカースクリュー)を埋め込んで、その骨に固定されたアンカースクリューを固定源として、歯を効率よく動かすための装置です。
しかし問題としては、アンカースクリューがうまく骨に固定されずにグラグラしてしまうことがあります。学会などの報告によれば全体の1〜2割のスクリューが予後不良になり使えなくなるとされています。
対策としては、まず当医院の予後不良率は1割程度で少ない事と、予後不良になった場合は、新しいスクリューを再度付け替える等で対応を行います。
【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】
1.最初に矯正装置をつけた時は、装置による不快感、痛み等があります。数日間から1〜2週間で慣れることがほとんどです。
2.歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
3.矯正治療は患者さんの協力が非常に重要です。装置の使用状況、定期的な通院等が治療結果や治療期間に影響します。
4.治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に歯を磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
5.歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなること(歯根吸収)があります。また、歯ぐきがやせて下がる(歯肉退縮)ことがあります。
6.治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
7.治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
8.矯正装置を誤飲する可能性があります。
9.ごく稀に、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
10.ごく稀に、歯を動かすことで歯の神経が障害を受けて壊死(歯髄壊死)することがあります。
11.様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
12.歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりすることがあります。
13.矯正治療後の歯や歯ぐきの見え方や口もとの形、顔(横顔)の形などが、必ずしも患者さんの望む状態にはならない場合もあります。
14.装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
15.装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
16.装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要がある場合があります。
17.あごの成長発育により、かみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
18.治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
19.矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
20.その他
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ご協力頂いた患者様へ
公開の承諾と治療へのご協力頂き感謝しております。
ありがとう御座いました。
ありしま矯正歯科 有島常雄