ある絵本 と セールスマン の エピソード
|

『アンジュール』 - ある犬の物語 -
作:Gablielle Vincent (ガブリエル・バンサン)
ベルギー出身の女性 ガブリエル・バンサン の代表作。
内容は鉛筆によるデッサン画のみで言葉は一切なく、絵のみで表現されています。
シンプルで表現力豊かなデッサンと内容がとても素晴らしい一冊。
物語は一匹の犬が主人公。
話は主人公の犬が車の窓から突如投げ捨てられ、にわかに野良犬になってしまうところから始まる。
飼い主のエゴで不意に捨てられた犬は、飼い主の車を必至に追いつづける。しかし車は去っていった。
あきらめた犬は誰もいない野や浜辺を孤独に彷徨い続けた。
やがて犬は町にたどり着くが、人々は皆つれない。
そんな中、犬は何もない広い道でひとりぼっちの子供と出会った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数年前のある日、僕の医院に何のアポイントもなく突然セールスマンが来ました。
聞けばマイラインの契約をお願いしたいとのこと。。。
その頃は、マイラインの契約をとるための過剰とも思える商戦が通信会社同士で熾烈に繰り広げられていた時期で、その手のセールスには相当にうんざりしていた時期でもありました。
そのセールスマンは、そんな飛び込みのセールスにはおよそ似つかわしくない風貌の小柄な紳士で、年齢は50才ぐらいだったでしょうか。
品のよいシンプルなスーツに身を包み、失礼ではありますが飛び込みのセールスマンとは思えない、とても上品な物静かな雰囲気をお持ちの人でした。
そのあまりに知的で品のある雰囲気と、苛烈な飛び込みセールスの活動との不釣り合いさがとても気になり、彼への好奇心もあってセールスの話を聞かせて頂くことにしたのです。
そしてその時は多忙であったため2〜30分待合室で待ってもらうことにしました。
そしてセールスマンのすすめられるがまま、事務的に契約は進み終了しました。
しかし僕の中の彼に対する疑問と異質感は残ったままとなりました。
僕は立ち去るセールスマンの後ろ姿を目で追いながら、自分の中の謎がこのままになってしまうのかと思った矢先、彼はドアの手前で向き直り、思い詰めた表情で言いました。
「先生、素晴らしい本を置かれているんですね。私は先ほど、この本を拝見させて頂きとても感動しました。良いものを読ませて頂きました。本当にありがとうございます。」
彼の目は潤み言葉はうわずっていました。
そのセールスマンがどのような経歴だったのかは未だに謎です。
しかし、この本が彼の心を強く打ったことは確かな真実なのだと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とてもよい本ですので見てみてください。
買うのであれば洋書で買った方が雰囲気が良いかもしれません。
未だにあのセールスマンのことが気になるのです。どうされているのでしょうか。。。
* * * * * * * * * * * * * * * *

追加で今週のお花です。 ハロウィンバージョンのアレンジメントフラワー
(再撮影し画像差し替えました10.12 pm23:00)

(差し替え前の画像)